第33回大会のオンライン開催にあたって
2020年7月
日本動物実験代替法学会第33回大会
大会長 酒井康行(東京大学大学院工学系研究科)
2020年の日本動物実験代替法学会第33回大会は,新型コロナウィルスの影響を多面的に考慮した結果,日程を動かさず会期を少し短縮し,オンラインで開催することと致しました.併せて,当初今年度に予定されていた沖縄科学技術大学院大学(OIST)での大会は,2021年の同時期に同じ鈴木真大会長の下で第34回として改めて開催することと致しました.今回のオンライン大会については,急遽,理事会を中心とした組織委員会を結成し,なるべく会員の方々へのご負担をかけず,一方で学術団体としての成果の発表・議論の場を定期的に確保するという任務を果たすべく,企画・実施をして参ります.企画詳細は適宜本サイトにアップいたします.物理的開催と同等のサービスのご提供は困難ですが,皆様のご理解とご支援をお願いする次第です.
本大会のテーマは,「COVID-19を超えて3Rsの未来へ」とさせていただきました.この新型コロナ禍を克服し,中長期的に社会の構築を始める際に,3Rs原則(Replacement,Reduction,Refinement)をどのように捉えなおすのか,またどのように発展できるのか,を考えるきっかけにしたいとの思いに基づいています.この新型コロナ禍は,我々の命を守るために,大型霊長類を含む動物を用いた実験が如何に重要であるか,またそこでの3Rs原則―特にRefinement やReduction促進―の重要性に図らずも光を当てることになりました.一方で,Replacementの促進になる動物を使用しない新たな薬剤・ワクチン開発評価法も脚光を浴びています.
今回のオンライン学会は,11月12日(木)午後と13日(金)全日の計1.5日間の限られた会期となりますが,上述の視点に立ち,「抗ウィルス薬・ワクチン開発と3Rs」,「コロナ禍に中での欧米・アジアの代替法動向」 ,「新たな代替法」の3つのシンポジウム(いずれも仮題)を企画しています.これらのシンポジウムは時間を重ねず,すべての参加者が参加できるように致します.一般講演はすべてポスターとし,オンラインでありながらも,参加者が自由に行き来できる数個の平行セッションに分け,それぞれポスターの説明と質疑応答を確保します.もちろん,大会賞・学生賞等の優秀演題の選考と表彰は通常どおり実施します.総会や表彰式も通常通り実施致しますが,一部の恒例の企画については,開催を残念せざるを得ません.また企業展示は設けないことと致しますが,開催にご協力をいただける企業の方々のご紹介は随時行いたいと考えております.
中長期的に見れば、動物福祉を遵守する社会的要請と,影響発現機序に基づいたヒトでの影響評価を求めるという科学的な要請の両立―本学会から見ればまさに3Rs原則の施行―は,揺り戻すことのできない人類の発展方向です.新型コロナ禍に対して,研究に加え社会との接点を重視する動物実験代替法学会がすべきことは益々重要になると考えており,本大会がその流れの一助になればと考えております.代替法学会内外からの多数のご参加をお待ち申し上げております.